表町
岡山駅を桃太郎大通りに沿って進んできた路面電車は、城下電停から進路を右に90度変えて城下筋を南進する。これに並行する南北に長いアーケードが表町商店街である。古地図を見ると、両側を堀に囲まれた南北に細長いエリアを西国街道が通っており、これが商店街の原型だ。
現在では住所の上では「表町〇丁目」とまとめられてしまっているが、上之町・中之町といった旧町名をそこかしこで見ることができ、また町ごとにアーケードの雰囲気が大きく異なる。
少し進んで下之町。ここには地元百貨店であり岡山最大の百貨店である「天満屋」が堂々鎮座する。バスステーションも併設されており、市内・市外とを結ぶバスが発着する交通の要衝でもある。百貨店にバスターミナルが併設される例はいくつかあるが、ここ天満屋がルーツのようだ。
さらに南下するとアーケードの十字路に出る。西国街道はここで左に曲がり、旭川を渡って京都方面へ繋がっている。住所の上では、このあたりまで「表町」。岡山市は2009年に政令指定都市に移行して住所に区がつくようになったため、既存の街区表示板に後から「北区」が貼られている。
京橋周辺
東に進むと城下筋との交差点でアーケードは終わり、西国街道と先ほどの路面電車が合流する。さらに進むと賑わいも落ち着き、古いまま残っている建築物がちらほらと出てくる。そして、街道(と路面電車)は旭川を渡ってゆく。
橋の名前は「京橋」。多くの城下町で、城と京都を繋ぐ街道が最初にわたる橋にこの名前が付けられている。今はすぐ南の新京橋をはじめ、大きな橋がいくつも架かっているが、それらがない頃はここを多数の人が行き交っていたはずだ。
県庁通り
ここから少し北上し、県庁通り沿いに岡山駅方面へ。「中国銀行」はチャイナの方ではなく、あくまで岡山に本店を置く地方銀行。クレド岡山は複合施設。2020年にリニューアルされたようで、前回訪れた時から紀伊国屋書店の位置が変わっていた(5F→2F)。
クレドと向かいの岡山中央郵便局が柳川筋に面している。ここの電停の名前は「郵便局前」。先ほど紹介した中国銀行本店前のバス停は「中銀前」。これほどの規模の街で、「郵便局前」や「中銀前」が一地点を指す地名のようなふるまいをしているのは興味深い。
そんなこんなで岡山駅へ戻った。
おまけ(過去写真)
こちらは岡山駅の発車標。ちょっと前までは、広島の方まで直通する列車を当たり前に見ることができた。今では三原駅以西への直通は全廃、快速サンライナーもなくなってしまった。今回訪れた岡山の風景も、数年後には懐かしの風景になっているかもしれない。
おわり
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献:「表町商店街WEBサイト」